刑事弁護の相談を受ける中で、「刑事弁護に強いですか?」という質問を受けることがあります。その質問を受けたときは、必ず、「強いかどうかは自己申告なので、私の話を聞いて納得できたか、相性がよいかどうかで決めるといいと思います。」と答えることにしています。
判断するポイントは、いくつかあります。
取調べに対する対応についてのアドバイスです。
私は、逮捕されずに在宅で捜査機関の取調べを受けている方はもとより、親族・友人等が逮捕されている依頼人の方にも取調べに対する対応はお話するようにしています。犯罪事実を争っている事件の場合、最低でも最初の一週間は連日の接見をします。取調べ状況の確認が必要だからです。
事件の見立てと対応です。
私が受任した事件で、こんな話がありました。ご依頼人は、被告人の関係者でした。被告人は、執行猶予中で、事件を起こしたとき、酔っていて覚えていないということでした。
弁護人にとって、被疑者・被告人の利益から考えると、この事案で発想しなくてはならないのは、事件がなかったことです。つまり、被害者とされる人が何らかの理由で、事件をでっち上げた可能性です。実際にそういう事件は存在します。
次に、覚えていないということなので、なんらかの病気で責任能力がない、という可能性です。法律上は当たり前です。
そして、最後に、覚えていない原因から、被告人の刑を軽くできないか、という可能性です。
このように、被告人の利益のために考えることは多くあります。しかし、私のところに相談に来る前に相談した事務所では、執行猶予中なので実刑確実ですよ、と告げられたとのことでした。